土木労働安全管理センター

執筆者略歴

 
 土木労働安全管理
 センター
 代 表:能代 昭

 昭和42年
 岩手大学卒業
 
 昭和42年
 北海道庁入庁
 各地を転任
 平成10年
 北海道庁退職
 土木技術畑一筋に
 32年間勤務
 退職時役職
 檜山振興局
  土木技術部長
 
 平成10年
 建設業者に入社
 平成21年
 労働安全コンサル
 タント資格を取得
 (国家資格)
 平成21年
 安全コンサルタント会社
 土木労働安全管理
 センターを設立
 現在に至る

ダウンロード

コラムPDFの
ダウンロードは
こちらから。
第1回〜第5回
ダウンロード

北海道通信社関連
の記事はこちらから
PDF

鹿児島建設新聞
関連の記事は
こちらから
PDF

 

関連リンク

 
 

鹿児島建設新聞 コラム原稿より(平成23年1月〜6月 24回シリーズとして掲載)

 
第3回 「安全第一とは」

 この意味を業界の方はどのように理解しているのでしょうか。
「そんなことは当たり前だろう! 人の命は尊く何よりも優先する。
労災を起こすと、被災者及びその家族は大変な目に遭う。まして死亡災害とも
なったら、その遺族は悲惨である。会社も場合によっては刑事責任や民事責任
を問われる場合もある。公共工事であれば指名停止などの行政処分もある。
 また、労災保険で賄いきれない補償やその他で莫大な損害を受ける。
従って会社の存亡にかかわる。だから安全第一に決まっているだろう」と殆ど
の方はこのように理解しているのではないでしょうか。
このような理解は、決して間違いではありません。
まったくそのとうりだと思います。

 第一があるということは、第二、第三もあるのです。
安全第一のフルフレーズは「安全第一、品質第二、生産第三」です。
これは、品質や生産性をおろそかにしても良いということでは有りません。
アメリカにUSスチール社という、製鉄会社があります。現在従業員約5万と
言われているアメリカ最大の製鉄会社です。
ピーク時は34万人だということですが、それ程の従業員ですし、製鉄工場で
すから、毎日のように事故、災害が発生した。(注釈;事故とは人が怪我をし
ないものを言う)そのため、当時のゲーリーという社長が労働者の苦しみに心
を痛め、会社の従来の経営方針を「生産第一、品質第二、安全第三」としてい
たものを、ひっくり返して「安全第一、品質第二、生産第三」と抜本的な安全
体制を構築しました。ところが、思わぬ結果になった。


第4回

 思わぬ結果というのは「安全第一、品質第二、生産第三」を社是として、安
全管理体制を構築し実行したらたちまち事故、労災が減少したばかりでなく、
品質が良くなり、生産性も向上した。そのことがアメリカ全土に広がり、やが
て日本に「安全第一」という部分だけが定着したのです。

 ですから、第1回で記述したように、人命は尊い云々だから安全第一という
ように解釈されているのです。 では、どうして「安全第一」の生産体制にし
たら品質が良くなり生産性が向上したのでしょうか。労災防止には経営トップ
の意識の高さが大きく影響すると言われています。社長が明確に安全第一を建
前でなく、本音で表明したからです。そして、ここからは、私の推測ですが、
労災防止には「ムリ、ムダ、ムラ」いわゆる3ムの排除が大きく寄与するとい
われています。

 つまり、3ムを排除した作業手順書を作って、それを徹底したのではないか
と思います。ですから作業手順書の重要性がいわれているわけです。
もともと、作業手順書とは誰がやっても同じものができる。つまり品質保持の
側面からその必要性が言われている傾向がありますが、労災の防止にも大きな
効果があるということを、経営者が認識するべきです。

 しかし、建設業の大部分の社長はこのようなことを信じていないでしょう。
それは、私が発注者であったとき、あるいは業界にお世話になっていたとき、
多くの社長さんのお話を聞いていますが、本音は受注第一、利益第一です。
これは、経営者としては当たり前のことですが、事業を営む以上労働者を災害
からも守らなければならないことは、法的義務以前にこれも当たり前のことで
すが、残念ながら、安全第一を叫ぶのは関係者向けの建て前です。

 このように言ったら怒られるかもしれませんが、私の実感です。しかし、北
海道内において、USスチール社の結果を証明している会社があります。


第5回

  先週稿で安全を第一にして、作業を行うと品質が良くなり生産性も向上する
と書きました。建設業ではありませんが、北海道のある食品加工工場(従業員
はパートを含め100人)で証明しています。

 その社長が「安全は製品の品質に直結する」という見出しで、業界新聞で会
社の経営方針を述べていましたので、早速お逢いして、社長の考え方を聞きま
した。その内容を詳しく記述する紙面はありませんので、結果をいいますと、
品質については、顧客からのクレームを3年間で3件以内を管理目標にしてい
たが、ゼロであった。生産性は5%以上向上したという事でした。

 その社長の言葉で印象的だったのは、労災の原因を現場や作業員のせいにす
るのは原始的な考え方で会社としての安全管理の体質とトップの姿勢、ポリシ
ーが大事だと言うことでした。

 これは建設業にも言える事ではではないでしょうか。
しかし、残念ながら建設業の多くの社長にはこのような安全に対するポリシー
が欠けていると思います。

 建設業は、昔はどんぶり勘定だと言われていた時代がありました。経営管理
や技術管理は近代化されたが、特に50人未満の会社の安全管理に関してはい
まだにどんぶり勘定的な考え方、つまり、原始的な手法が残っていると私は思
っています。建設業の労災は昭和50年以降53年をピークにして順調に減少
していますが、全産業に占める割合にあまり変化がないのは、そのようなとこ
ろに根源的理由があるのではないかと思っています。
ですが、ある規模以上の会社は近代的な安全管理手法に移行していると思いま
すが、大部分の会社は原始的な安全管理であると思っています。

 札幌市内の30人規模の会社ですが、その社長は「安全は品質と利益の土台
となるもの」と言っています。私と同じ考え方です。

 いつか、その社長にお逢いして話を聞きたいと思っています。
 

第4回以降は6月以降に掲載予定です。

 

TOPへ

   

       

土木安全の未来を拓く

〒 065−0022 札幌市東区北22条東16丁目3-7-12  TEL: 011-784-3900

Copyright by ONK-RA.com All Rights Reserved